「熱」で「乾」のギリシャの夏

2015年08月11日 14:05

ギリシャの気候(地中海沿岸の気候)は、夏は暑くて乾き、冬は少しの雨が降る。

古代のギリシャで生まれた思想、エンペドクレスやアリストテレスのいう四元素の夏は熱で乾、冬は冷で湿、はこの地中海性気候の四季から生まれています。春は陽気は熱で湿、これは西風のセピュロスが吹く季節です。アリストテレスの時代、西風(ゼピュロス)は きまって2月7日~8日に吹いたといいます。

”この風が吹いたら、この植物を植える、あるいは刈り取る”とか、”この星が上がったら(あるいは沈んだら)この植物が芽吹く” といった自然の中で培われた経験と知恵は、今もなお色あせることない知識であり、迷信や神話的要素というよりは[現実におこる自然現象を詳細に観察をした結果の"知識の集約"]といえましょう。

アリストテレスの弟子で植物学の祖といわれるテオプラストスは「植物誌」の中でこのように語っています。

「西風の前に芽を出すのはセイヨウサンシュユと雌のセイヨウサンシュユ(近縁種)、西風の後に芽を出すのはゲッケイジュとセイヨウヤマハンノキ、春分の少し前に出るのはシナノキ、バロニアガシとイチジクである.....」(テオプラストス『植物誌1』より)

古い日本の文化とギリシヤの文化や思想には相違点が多く、また日本の神話とギリシャの神話にみる共通性はよく指摘されることではありますが、その背景には自然を見つめる目にあるのかもしれません。ギリシャの本土は入り組んだ地形をしており、また数多くある島もそれぞれ環境が少しずつ異なり気候の変化は大きかったといいます。日本はというと、南北に長い上、平地に山や原生林と気候は様々に異なります。

自然への鋭い観察と生活に生かしていく取り組みは、現代にも新たな知性と鋭い直感を養うことでしょう。